なぜ「獏(バク)は“夢を食べる”とされているのか?伝説と由来を探る

超常現象、オカルト

「バクが夢を食べる」という言い伝えは、日本では子ども向けの絵本や雑貨にも登場するなじみ深いモチーフです。しかし、なぜこの幻獣に“夢を食べる”という役割が与えられたのか、その背景には中国・日本双方の伝承・語源・文化的変化が絡んでいます。この記事ではその由来を整理します。

獏とは何か:伝説上の生き物の正体

獏(ばく)は元来、中国の古い書物に記された霊獣で、「象の鼻・犀の目・牛の尾・虎の足を持つ」とされる異形の存在です。[参照] (Wikipedia 『獏』)

中国ではこの獏を、“鉄や銅、湿気を避ける皮を食べる”という記述もあり、夢を食べるという話は明確には登場しません。[参照]

なぜ“夢を食べる”ようになったか:日本における変容

日本に伝わった際、この獏の〈邪気を払う・悪を食べる〉という性質が、「悪夢を食べてくれる幻獣」という形に拡張されました。 [参照] (into Japan waraku「なぜ夢を食べるのは“バク”なのか?」)

例えば、「悪夢にうなされた朝に“この夢をバクにあげます”と唱えると悪夢を見なくなる」という民間伝承も残っています。 [参照]

実在の動物「バク」と伝説の獏の違い

現在「バク」として知られる哺乳類(Tapir属)は、東南アジアや中南米に生息する動物で、草食性・水辺生活・ゾウのような鼻など特徴があります。[参照] (Bakuはtapir)

伝説の獏と実在のバクは別物ですが、形が類似していたり、漢字や読みが同じだったりしたために、語り継がれるうちにこの二つが重なって語られるようになったと考えられています。 [参照]

夢を食べるというメタファー:意味を読み解く

「夢を食べる」という表現には、直接的には“悪夢を取り除く”という願いが込められており、古くから眠りの中の〈魂の遊離〉・〈邪気の侵入〉に対する恐れに対応する文化的装置とも言えます。

例えば、江戸時代には「獏の絵を枕の下に置く」「獏の置物を寝室に飾る」などの風習があり、これは眠りの中の不安を和らげる文化的な“おまじない”として機能していました。[参照]

現代におけるバクの象徴と活用例

今でも「夢を食べるバク」は、雑貨・インテリア・キャラクターなどで縁起物・癒しキャラとして使われています。「悪夢を退け、良い夢を運ぶ存在」というイメージがポップカルチャーにも浸透しています。

また、動物園でも「マレーバク」など、バク科の動物が人気となっており、「伝説の獏のようなものではないけれど、不思議な動物だ」という関心を集めています。[参照]

まとめ

「バクが夢を食べる」という話は、伝説上の霊獣・獏がもともと持っていた〈邪気を払う/悪を食べる〉性質が、日本で「悪夢を食べる」というイメージに転じたものです。

実在する動物のバク(Tapir)は伝説とは別の存在ですが、その名前や形象が伝説と混同され、今日まで「夢を食べるバク」のイメージとして親しまれています。こうした神話・民間信仰と動物知識の重なりを知ると、夢と眠りにまつわる文化の奥深さが見えてきます。

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