寝ている間にベッドが汚れる――夢と“失敗の可能性”を整理する：考えられる原因と対策

寝ている間に「トイレに行く夢」を見て、起きたらベッドが排泄物で汚れていた――そのような経験は、多くの人にとって驚きとショックを伴います。実際に何が起きたのか、体の状態の可能性、そして今後どう対処すればよいかを整理することで、不安を少しでも和らげる手助けになれば幸いです。

夢を見た／トイレに行く夢と実際の排泄の関係

「夜中にトイレの夢を見る」ことと、「実際に寝具が汚れる」ことは、必ずしも同じ意味ではありません。ただし、夢の内容と身体の状態が重なることで“無意識の失禁”が起きる可能性があります。

実際、睡眠中に尿意や便意を感じても、深い眠りや自律神経の乱れなどにより目覚めず、尿や便のコントロールが効かなくなるケースがあります。大人における夜間の排泄トラブルはゼロではありません。([参照])

以下のような医学的・生理的な原因によって、睡眠中の“無自覚な排泄”が起きることがあります。

尿失禁（夜尿症・過活動膀胱など）：睡眠中に膀胱が適切に尿を溜められず、無意識に排尿してしまうことがあります。ストレスや睡眠障害、自律神経の乱れが関与することもあります。([参照])
便失禁（漏出性便失禁など）：直腸や肛門の神経や筋肉の働き、便の状態（便秘や下痢）などにより、本人が気づかないまま便が漏れてしまうことがあります。特に睡眠中は本人が気づきにくいため、シーツや布団が汚れて初めて気づくこともあります。([参照])

また、便や尿の異常だけでなく、睡眠の深さ・質や精神的ストレスなども影響するため、「夢を見た」ことがトリガーになる場合もあります。

トイレに行く夢をよく見る人の中には、実際に夜間の尿意・便意を感じながらも、夢の中で「トイレに行ったつもり」になってしまうことがあります。このような夢は、睡眠中の身体のサイン（尿意・便意・膀胱・腸の違和感）を脳が“夢”という形で処理している、という見方があります。

たとえば、日中のストレスや不規則な生活、便秘や水分の取り過ぎ、アルコール・カフェインの影響などがあると、夜間の身体のバランスが崩れやすくなります。それが睡眠中の排泄トラブルにつながることもあるのです。

こうした状況に心当たりがある場合、以下のような対策を検討するとよいでしょう。

まずは医療機関での受診を検討する：便失禁や尿失禁の原因は、多岐にわたるため、泌尿器科または消化器内科などで専門医に相談することをおすすめします。
寝具の保護と衛生管理：防水シーツやマットレスカバー、大人用シーツなどを使い、布団やマットレスが汚れないように備えること。
就寝前の習慣を見直す：寝る前の水分・アルコール・カフェイン摂取を控える、便通を整える、夜のトイレを習慣づける、など。
心身のストレスや生活リズムの改善：ストレスや不安、睡眠の質の低下は排泄のコントロールに影響することがあるため、生活リズムを整え、必要なら相談窓口も利用を。

一度きりの出来事であっても、寝具が汚れるような排泄トラブルは体からのサインかもしれません。特に「便が漏れた」「知らぬ間に失禁した」「頻繁に夜起きる」といった状況が続くようなら、記録を付けて医療機関を受診することを強くおすすめします。

受診時には、「いつから」「どの頻度で」「どんな状況で起きたか」「夢を見たか／感じたか」「夜の水分量や便通の状態」をメモしておくと、原因の特定や治療に役立ちます。

寝ているときの夢と、起きたときの現実にギャップがあったとしても、それは驚くべきことではありません。身体の状態、睡眠の深さ、ストレス、便通の状況などが重なって起こる“無意識の排泄”である可能性があるためです。

こうした経験があったなら、まずは自身の健康を最優先に考え、恥ずかしさにとらわれずに必要な対処や受診を検討してください。そして、布団や寝具のケアなども併せて行い、安心して眠れる環境を整えることが大切です。